心臓病の犬にはどんな食事を与えたらいい?|食欲がないときの対処法も解説
心臓病の犬を飼われている飼い主様にはこんな悩みがあるのではないでしょうか?
「ダイエットをしたほうがいいのか知りたい」
「どんな食事を与えればいいかわからない」
「食欲がないときの対処方法を知りたい」
食事管理は体を作る大事な要素です。
心臓病の犬でも例外ではなく、正しい食事管理をすることが良い成果に結びつきます。
この記事では
- 心臓病の犬でダイエットすべきなのかどうか
- 心臓病の犬の食事に関わる成分
- 食欲がないときの対処法
について解説します。
ぜひ参考にしていただき、日頃の心臓病の愛犬のケアにお役立てください。

犬の心臓病とは
犬は高齢になると心臓病にかかりやすくなると言われています。
犬の心臓病にはさまざまなものがありますが、中でも一番多い心臓病は僧帽弁閉鎖不全症という病気です。
今回の記事は僧帽弁閉鎖不全症の犬を対象に解説します。
僧帽弁閉鎖不全症とは
僧帽弁閉鎖不全症とは心臓の中にある僧帽弁という弁が閉じなくなる病気です。
犬の心臓は
- 右心房
- 右心室
- 左心房
- 左心室
の4つの部屋に分けられ、それぞれの部屋を血液が流れています。
実際の血液の流れは以下の通りです。
右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房
この血液の流れは一方通行である必要があるため、それぞれの部屋の間には逆流を防止する弁がついています。
そのうちの左心房と左心室の間にある弁が僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症はこの僧帽弁が閉じなくなり、血液の逆流を生じることでさまざまな合併症が生じる病気です。

心臓病の犬は痩せたほうがいい?
心臓病の犬では肥満がリスク因子になると言われています。
その理由は、肥満になると血管の収縮による高血圧や血液量の増加が起こり、心臓への負担が増えるからと言われています。
それに加えて肥満は
- 糖尿病
- 膵炎
- 慢性腎臓病
のリスク因子です。
心臓病と同じタイミングでこれらの病気が発症してしまうと治療が困難となります。
そのため肥満である場合は基本的にダイエットをした方が良いでしょう。
しかし過度に痩せすぎることは逆効果です。
心臓病は進行すると悪液質という、食欲不振や筋力低下などの症状を示す状態になり、みるみる痩せていきます。
そのため痩せすぎた犬で心臓病が進行すると、体力が維持できなくなってしまうことも多いです。
人の心臓病領域でも「肥満のパラドックス」という言葉があり、
「肥満で良いことは何もないはずなのに、肥満の患者の方が予後が良い」
というデータもいくつかあると言われています。
もしダイエットをする際は、理想体重以下まで減らさないように気をつけましょう。
理想体重とは?
理想体重は年齢や犬種によって変わります。
そのため動物の医療の世界では、以下のようなボディコンディションスコア(BCS)という9段階の指標を使って今の体重が理想体重かどうかが判断されます。
| 視診 | 触診 | |
| 1〜3:痩せている | 1:遠くからでも肋骨などの骨がはっきりと見える2:1と3の中間 3:腰のくびれが明らかで、骨盤の周囲が骨ばって見える | 1:触れる体脂肪が全くない 2:1と3の中間 3:触れる体脂肪がほとんどない |
| 4〜5:適正 | 腰のくびれが明らか 腹の巻き上がりがはっきりしている | 肋骨は余分な志望に覆われることなく、容易に触れる |
| 6:太りぎみ | 腰のくびれはあるが、あまりはっきりしていない腹の巻き上がりがある | 肋骨はわずかに余分な脂肪に覆われているが、触れる |
| 7〜9:太っている | 7:腰のくびれはほとんどまたは全くない 腹の巻き上がりはほぼない 8:7と9の中間 9:腹部は明らかに丸みを帯びている 腰のくびれおよび腹の巻き上がりはない | 7:肋骨はかなり脂肪に覆われるが、なんとか触れる 8:7と9の中間 9:肋骨は厚い脂肪に覆われ、触れない |
ダイエットをするときはこのBCSの5を目指して行いましょう。
愛犬がどのスコアなのかの判断が難しい場合は動物病院に相談するのがおすすめです。

心臓病の犬に関わる食事中の成分
世間で出回っている犬のフードやサプリメントには「心臓に良い成分が含まれる」というフレーズで販売されているものも多いです。
ではどの成分がどのように心臓にとって良いのでしょうか?
ここからは心臓病の犬に関わる食事中の成分についてそれぞれ解説していきます。
タウリン
タウリンは心臓の中に多く含まれる栄養素です。
タウリンには血圧を低下させる作用があることがわかっています。
また、心臓の筋肉を保護することで強心作用があることもわかっています。
多くの心臓病用の療法食に含まれている成分ですね。
L-カルニチン
L-カルニチンは脂肪酸を燃料にしてエネルギーを発生させる栄養素です。
エネルギー消費が多い骨格筋と心筋に多く存在しています。
タウリンと並んで心不全の改善が期待される栄養素です。
DHA・EPA
DHA・EPAは魚の脂やモエギイガイなどに多く含まれる、オメガ3脂肪酸と呼ばれるものです。
これらのオメガ3脂肪酸は炎症を引き起こす炎症性サイトカインの濃度をさげ、心臓病による悪液質を抑制すると言われています。
実際に心不全モデル犬に対してDHA、EPAを投与した実験では、炎症性サイトカインのIL-3が抑制され、生存期間の延長が報告されています。
抗酸化物質(ビタミンE・C)
ビタミンE・Cなどの抗酸化物質が心臓病にどう作用するのかについてまだはっきりしたことはわかっていません。
しかし、心臓に負荷がかかり、エネルギー代謝が亢進している心臓病では、なんらかの有効性があるのではないかと期待されています。
塩分(ナトリウム)制限
心臓病の犬では塩分の制限が必要になることがあります。
塩分を摂りすぎると血圧が上昇し、心臓に負担がかかるからです。
また、進行した心臓病ではナトリウムの排泄能が著しく低下するのも、塩分を制限しなければいけない理由の一つです。
しかし、あまりにも心臓病の初期からナトリウムの制限を行うと逆にレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系という血圧を上げる機構が活性化する可能性があると言われています。
もし塩分を制限するなら僧帽弁閉鎖不全症のステージB2以降から始めた方がいい、と
多くの専門家が意見しています。
実際に塩分を制限する場合は実際に動物病院で獣医師に相談してから行うようにしましょう。
結局心臓病の犬にはどんな食事を与えたらいい?
ここまでさまざまな栄養素を解説しましたが、これらの栄養素をどのように与えていくのか悩ましいですよね。
実は多くの心臓病の療法食では、これらの栄養バランスが調節されています。
どんな食事を与えるか困ったときは療法食を与えるのがおすすめです。
しかし大事なのは、どの心臓病のステージから療法食を与えていくかです。
療法食を与える前には必ず動物病院で診察を受け、獣医師から療法食の指示を受けましょう。

心臓病の犬で食欲が落ちたらどうするか
進行した心臓病では悪液質という食欲が低下する病態になることがあります。
食欲が落ちた場合は以下の方法を試すのがおすすめです。
- フードを温める
- ウェットフードに変える
- 好みの風味を加える
犬は一般的に40℃弱の水分が多い食事を好む傾向にあります。
また、無塩のチキンスープなどの風味を加えると食欲が増すことがあります。
いろいろなことを試してみて愛犬に合った方法を模索してみてください。
まとめ
心臓病の犬の食事管理は簡単なことではありません。
多くの飼い主様が悩みを抱えています。
もし心臓病の犬を飼われていて、食事に関するお悩みがある際は一人で悩まず動物病院に相談しましょう。
当院は心臓病に力を入れている動物病院で、飼い主様との対話を大事にしています。
もし悩まれていることがあればいつでもご相談ください。

