チワワに一番多い心臓病|僧帽弁閉鎖不全症について獣医師が解説

チワワに一番多い心臓病|僧帽弁閉鎖不全症について獣医師が解説

チワワを飼っている飼い主様は、チワワに心臓病が多いということを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
実際に心臓病の診察で動物病院に来られる犬の約半数はチワワが占めています。
それくらいチワワに心臓病は多いです。

本記事ではチワワに多い心臓病である僧帽弁閉鎖不全症について解説します。
チワワを飼われている飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、チワワに多い心臓病について詳しくなっていただけると幸いです。

こちらをみている黒と茶色のチワワ
目次

チワワはどういう犬種?

チワワは世界一小さいとされる体重1〜3kgほどの超小型犬です。
9世紀ごろのトルテカ文明やアステカ文明が発祥で、当時は「テチチ」と呼ばれていました。
そのテチチが19世紀ごろにアメリカ人によって広まったのが今のチワワです。
チワワには

  • 短毛のスムースコート
  • 長毛のロングコート

の2種類の被毛が存在していて、日本だとロングコートの方が多く飼われています。
古くから愛情深く、大型犬にも吠えかかるような勇敢な性格が広く愛されています。

リードがクロスしている2匹のチワワ

チワワに多い心臓病である僧帽弁閉鎖不全症とは

チワワには僧帽弁閉鎖不全症という心臓病が多いです。

僧帽弁閉鎖不全症とは心臓にある僧帽弁という弁が閉じなくなってしまう病気です。
心臓は

  • 右心房
  • 右心室
  • 左心房
  • 左心室

の4つの部屋に分かれていて、中には血液が流れています。
血液の流れは以下の通りです。

右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房

心臓は上記のように、肺で血液が酸素を取り込んで全身に送り出すという形になっています。
この血液の流れは逆流しないように、一方通行でなければいけません。
この一方通行の流れを可能にするために、心臓には血液の逆流を防ぐ弁があらゆる箇所に存在しています。
そのうちの左心房と左心室の間にある弁が僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症ではこの僧帽弁が閉じなくなることによってさまざまな合併症を引き起こします。

僧帽弁閉鎖不全症では咳が出る

僧帽弁閉鎖不全症が進行した結果、まず発症する合併症が咳です。

僧帽弁で血液の逆流が生じると、本来左心室に入るはずだった血液が左心房に流入します。
その結果左心房の中は大量の血液で充満し、徐々に左心房は拡大していきます。
左心房が拡大した結果、影響を受けるのが心臓の真上にある空気の通り道である気管です。
拡大した左心房は気管を圧迫していきます。
気管は圧迫されると空気が通れなくなり、咳が誘発されます。
これが僧帽弁閉鎖不全症で咳が出るメカニズムです。

僧帽弁閉鎖不全症では疲れやすくなる

僧帽弁閉鎖不全症では血液が逆流することによって全身に送り出す血液の量が減ります。
その結果全身に届けられる酸素の量が減り、少しの運動でも疲れてしまうようになります。

愛犬が散歩中に疲れやすくなってきたときに
「高齢だからしょうがない」
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特に若いときのチワワは運動量が高いので、疲れやすくなると目につきやすいと思います。
実はこれは心臓病のサインかもしれません。

最終的には肺に水が溜まる

僧帽弁閉鎖不全症が進行すると最終的には肺に水が溜まる肺水腫という病態に陥ります。

僧帽弁での血液の逆流が続くと、左心房だけで血液を受け止めることができなくなっていき、左心房の前にある肺で血液が渋滞を始めます。
その結果、血管から水が浸み出し、肺に水が溜まってしまうのが肺水腫という病態です。
肺水腫になると正常な呼吸を行うことができなくなり、呼吸困難な状況に陥ります。

笑っている2匹のチワワ

僧帽弁閉鎖不全症のステージ

僧帽弁閉鎖不全症はその重症度よってA〜Dに分類されます。
ステージの分類は以下のようになります。

ステージ定義と治療
A発症リスクが高い犬種(チワワ、キャバリアなど)で心臓に異常がない状態。
治療は不要。
B1僧帽弁での逆流があるものの、心臓の拡大はない状態。基本的に治療は不要。
B2僧帽弁での逆流があり、心臓の拡大が見られる状態。
このステージから治療が必要。
C肺水腫を発症した状態。
強心剤や利尿剤など複数の投薬が必要。
D標準的な治療を行っても症状が抑えられない肺水腫を発症した状態。

チワワの飼い主様にできること

ここまではチワワのかかりやすい心臓病について解説してきました。
では飼い主様にとって、愛犬のチワワにしてあげられることには何があるのでしょうか?
ここからはチワワの飼い主様にできることを解説していきます。

まだ心臓病になっていないチワワを飼っている場合

チワワは生まれつき僧帽弁閉鎖不全症のステージAに分類され、僧帽弁閉鎖不全症のリスクが高い犬として知られています。
そして僧帽弁閉鎖不全症は一度発症すると基本的に悪化していくものです。
動物病院で一度も心臓病の疑いを持たれたことがなかったとしても、心臓病を早期発見するために、定期的に健康診断に連れていきましょう。
7歳未満で若い場合は年に1回、7歳以上のシニア犬では年に2回健康診断を受けるのがおすすめです。

もし動物病院で「心臓から雑音がする」と指摘された場合は、僧帽弁閉鎖不全症のステージB1以上である可能性が高いです。
その場合はなるべく早く心臓の検査を受けるようにしましょう。

心臓病になってしまったチワワを飼っている場合

一度チワワが心臓病になってしまうと、完治することはありません。
しかし、進行を遅らせたり、症状を緩和することは可能です。
僧帽弁閉鎖不全症のステージB2では、EPIC studyというステージB2から投薬をすることでステージCまでの期間を15ヶ月間延長するというデータがあります。
ステージC以降でも治療を行うことで症状を緩和することが可能です。
愛犬が心臓病になってしまっても諦めずに動物病院でしっかり相談し、治療を受けるようにしましょう。

またチワワは非常に興奮しやすい犬種としても知られています。
興奮すると血圧が上がり、心臓病を悪化させる要因となります。
もし日常生活で興奮しやすいイベントがあるようなら、なるべく避けるようにしましょう。

走っているチワワ

まとめ

チワワは心臓病が多い犬種です。
そして心臓病になると基本的に完治することはなく徐々に悪化していきます。
だからこそ飼い主様が知識をつけて、定期的に動物病院に通い、早期発見、早期治療をすることが重要です。
普段動物病院に行かないチワワの飼い主様は、一度は動物病院で健康診断を受けていただけると幸いです。

当院ではチワワの心臓病を含む、心臓病の治療に力を入れています。
チワワを飼っている方で心臓病についてお悩みの方はいつでもご相談ください。

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